お盆 受け継いだいのち
                  千厩町・地蔵院住職・大場浩俊


 今年もお盆が廻ってきました。地元の方は勿論、故郷を遠く離れてい
る方も、帰省ラッシュの中を、民族大移動のように故郷へ帰りご先祖さ
まにお参りします。

 盆の唄に「盆はなぁ、盆はうれしや別れた人も、はれてこの世へ会い
に来る」と、うたわれています。

 普段は、仕事に追われ、なかなかご先祖様のことを考える時間のな
い人も、お盆にはお寺にお参りし、お墓へ花やお香を手向け、それぞれ
の家では迎え火の明かりで、帰られた御霊とともに過ごします。
そして先祖を偲び、いま命あることを喜び感謝いたします。

 ご先祖様と云われて、頭に思いえがく、その姿は両親、祖父母、せい
ぜい三代前の人くらいしか、頭に浮かばないでしょう。

 二十七代さかのぼると、一億人のご先祖様の数になります。地球上に
人類が登場したときから数えると、天文学的数になります。

 そんな中を途絶えることなく自分まで受け継がれたこの生命は、まこ
とに尊い生命であり、肉体であります。まさにこの尊い生命を無駄にす
ることなど出来ないでしょう。

 お盆には施食会の法要を行います、すべての精霊に食べ物を施し供
養する行事です。

 ご先祖様はじめ自分も、ただ一人で生きてこれた訳ではありません。
多くの人や物に支えられて生かされて来たのです。

 先祖という縁が有ろうが無かろうが、みんな受け継いできた生命なの
です。

 お盆は、生命の尊さや、万物すべてのものの尊さに感謝し、皆で助け
合わねば生きていけないことを伝える、絶好の機会でもあります。