もったいない 
                  東山町・観林寺住職・高橋哲秋


 本日は、「物を大切に」というお話しを致します。
 戦後五十数年、日本はめざましい経済成長をとげました。お陰様で、
私たちの生活も快適で便利になりました。その原動力となったのは日
本人の勤勉さだといわれています。その反面、外国からはエコノミック
アニマルなどと批判もされています。

 私たちは今、沢山の物を生産し、大量に消費し、多くの物を捨てる生
活をしています。便利・快適というコマーシャルが毎日毎日、私たちを
マインドコントロールするかのように流れ、何かしら「物を買わなければ
時代遅れになってしまう」ような焦りさえ感じます。
 
 でも、考えてみてください。便利快適を求めるために、私たちは多くの
物を犠牲にしてきました。ゴミ処分問題、水やエネルギー資源問題、オ
ゾン層の破壊、温暖化現象など、数え上げたらキリがありません。

 それ以上に心配するのは、「もったいない」という心がなくなりつつあ
ることです。修理するよりも新品の方が安い場合も結構あります。

 しかし、大切な物ならば、多少高くついても修理するはずです。大切
だと感じないのは、新品に魅力があり、古い物に愛着がないからです。
物を捨てることは、ゴミを増やすことです。「物を大切にする心」を捨て
ることです。

 本当に必要な物を手に入れ、修理修繕しながら使うことの方が、すば
らしいのです。使い捨ては、決して良いことではありません。物の生命
を生かし切ることが良いことなのです。

 「もったいない」・「ありがとう」の気持ちを忘れたくないものです。