新年を迎えて
                曹洞宗岩手県宗務所所長・稲田泰山


 新年明けましておめでとうございます。あなた様のご多幸を心よりお祈
り申し上げます。

 時の流れは、始めがなければ終わりもないように常に無限に続いてお
りますが、新年を迎えますと、時は永遠に変わらなくても一年を反省し、
新しく目標を立て直し、身も心もすがすがしい気分になって、将来を祝福
することにおめでたい新年の意義があります。

 昨年、一年間はどんな日を過ごされましたか、楽しいことや、嬉しかった
こと、それにもまして、悲しいことや辛いこともあったことでしょう。でもそれ
はもう過ぎ去ったことです。悔やんでいても仕方ありませんね。

 あなたは、今年一年間をどのように過ごしたいと願っておいでですか。
きっと健康で仕事もはかどり、経済的にも悩みや心配事がない幸せな毎
日が送れますようにと望んでいるに違いありません。

 実は私もそうなんです。しかし自分の計らいとは裏腹に、突然病魔に冒
されたり、家庭に一波乱が出たり、不況の波を被って仕事がうまくいかな
かったり、毎日むなしく過ごす人もいるでしょう。

 私の好きな言葉に「梅は寒苦を経て清香をはなつ」厳しい冬の寒さにじ
っと耐え続けたからこそ、春の時を経て、香しい花を咲かせるのです。

 その「梅の花」のように今日一日を精一杯生きていく、そんな新年の誓
いを立ててみては如何でしょうか。