仕事のプロを目指す
           水沢市・龍徳寺副住職・宇津野則昭


 今日は仕事のプロについてお話しします。仕事のプロとは、その道の達人
のことです。主婦の方であれば、家庭におけるさまざまなことがこなせる、い
わゆる「主婦の鏡」といわれる人のことです。

 道元禅師様は、正法眼蔵随聞記のなかで、「人はその道に入ったならば、
その道を極めることが大切である。第一に仕事を身に付けることだ。自分の
仕事でもないことを身に付けたり学ぶのは、間違いだ。」と云われています。

 私の体験をお話ししますと、私は以前旅行会社に勤めておりました。入社
しての配属は仙台で、内勤でした。仕事は忙しく、入社して三ヶ月殆ど毎日
のように残業でした。たまに会社に泊まったことさえありました。仕事を覚え
る為とはいえ、きついものがありました。時には先輩に、仕事の愚痴を言って
泣いたことさえありました。

 次第に私は、上司からの信頼を得、「あいつに頼めば必ずやってくれる」と
云われるくらいになりました。いつしか自分の中で、仕事のプロになろうと思
うようになったのです。目標とする先輩がそうであるように、私もそうなりたか
ったのです。

 問題が一つ。それは英語でした。国家試験の一般旅行業務取扱主任者の
試験には、英語があります。中学から大学まで学びましたが大の苦手が英
語でした。

 旅行会社に入ったことを後悔したものでした。他に国内は元より海外の地
理・文化・政治・経済に至るまで、本当に大変でした。受験の一年前から計
画を立て、残業から帰っても必ず英語は勉強しました。

 この資格を取ってはじめて一人前の旅行会社の社員になれると云う思い
があったので、必死に勉強しました。其のかいあって見事「合格」しました。
 
 旅行会社には十一年間お世話になりました。私は一つの仕事にけじめを
付け、今ではこうして仏に仕える身です。

 周りには、良い先輩として立派な和尚さん方がおられます。そういう方々を
見習って、仏の道に日々精進して参ります。

 皆さんもどうぞ、その道に入ったならば一心に仕事のプロを目指して頑張っ
てみて下さい。