生死はほとけに任せる
                    釜石市・盛岩寺住職・三宅俊禅


 ある日、私のお寺のホームページを通して相談事のメールが入ってきま
した。

 22歳の息子さんが交通事故で亡くなり、今日は初七日でお墓にお参りし
てきたが、気持ちが落ち着かないのでメールした次第と、母親の嘆き悲し
みの心情が綴ってありました。

 たとえ、メールという電子文字と言えども、子に対する母親の情愛溢るる
その心情は、私の心にひしひしと伝わって参りました。
 私はその母親に返事を出しました。
 
 22歳は人生のスタートラインに立ったばかりですのに。
 今までの22年間は親として手塩に掛け、ようやくスタートラインに立たせ
 た矢先のこと、親としてはこんな辛いことはないでしょう。

 たとえ天地がひっくり返っても、こういう事が起こるとは思いもよらないも
 のです。

 子供を亡くした時は、親を亡くした時の何倍もの悲しみがあると言うし。
 夫を亡くした時の何倍もの辛さがあると言われます。
 生き死には、人の力の及ばないところの世界なのです。

 人の力が及ばない世界だと言うのに、そこへどう割って入り込むことが出
 来ましょうか。 

 悲しみに耐えることはありません。 
 辛さに耐えることはありません。
 涙を拭うことをしなくてもいいのです。

 今、体験していることは真実なのです。
 信じたくないけど本当に真実のことなのです。
 すべてがありのままなのです。
 ありのままのことを、そのままありのままに受け入れるしかありません。

 このことを道元禅師様は「生死はほとけに任せる」と言ってます。