新年を迎えて 
      曹洞宗岩手県宗務所長・久慈市・長福寺住職・稲田泰山


 新年を迎えられた皆様には心よりお慶び申し上げます。
おめでとうございます。いつもテレホン法話をお聞き下さり有難うござい
ます。今年も受話器のぬくもりをどうぞご期待下さい。

 ところで新年を迎えますと、なぜこうもすがすがしい気持ちになるので
しょうか。「新しい」の語源は「おので木を切り落とす」引いて「もののは
じめ」の意に用いるとあります。

 あなたが、すがすがしい気持ちで新年を迎えられたとすれば、それは
「おので木を切り落とす」が如くに、様々な思い残しをバッサリと切り落
としてきたからです。

 つまり、物事の執着から一時でも心を解き放したからなのです。切り
落としができずに、執着をすてきれないで年を越された方は、新年を
迎えた気分にはなれないでしょう。

 今、新たな三百六十五日が始まりました。それは、絵にたとえるなら
ば、自分自身の思いの絵を描くことができる新たな三百六十五日の、
白いキャンバスとも言えるのです。

 悩み多き、失敗続きのキャンバスも新しい眼で、新しい感性でみつめ
れば大きな傑作を生む下絵となります。

 さあ、今年の一年、自分が生涯かけて描くべきそんな絵を、物事にと
らわれないすがすがしい心で、ひと筆ひと筆描いてみましょう。