人間シャカの誕生
遠野市・慶雲寺住職・菊地伯也
| １２月８日は、お釈迦さまがお悟りを開かれ仏陀となられた誕生日に対し、 ４月８日は人間としてこの世にお釈迦さまがお生まれになった誕生の日でご ざいます。 今から２５００年ほど前、今のネパールの南部、インドとの国境近くにカピラ という小さな王国があり、シャカ族の人達が住んでいました。 お釈迦さまはこの種族の王子として誕生されました。父の国王はスッドー ダナ（浄飯王）といい、母の王妃はマーヤー（摩耶夫人）といいました。 ある日のこと、マーヤー夫人は、白い立派な象が体の中に入ってくる不思 議な夢をご覧になりご懐妊されたのでした。出産のため、里帰りする途中立 ち寄ったルンビニーの花園で休まれました。マーヤー夫人が花盛りの無憂樹 の枝におすがりになった時、お釈迦さまのお誕生を迎えることになりました。 そしてお釈迦さまは、生まれると直ぐと東西南北に７歩づつ歩まれ、右手で 天を左手で地を指され「天上天下唯我独尊」といわれたのです。その後７日 目に母マーヤー摩耶夫人は亡くなられ、それからは母の妹マハーパジャパテ ィーという心優しい養母に育てられたのでした。 先の「天上天下唯我独尊」とは「お山の大将われひとり」と言った自己中心 的な考えではありません。「すべての人達は生まれながらにして尊いもの」と いう人間平等、基本的人権、誰でも仏になれるという、人格平等の知恵を表 したものにほかありません。 その象徴的な姿が、掌を合わせると言うことでしょう。 「すべてに掌を合わせる人であれ」 |