ありがとう
                              紫波町・長岩寺住職・斉藤盛久


 「人は他人の真心に触れて、己の真心に気づく」と言われますが、私達は
自分の中の、真心を自覚したとき、即ち感動・感激したときに初めて豊かな
心になれるものです。

 「心の豊かさ」が求められる今日、自分の周囲の人に対する思いやりのあ
る行為が求められます。人を思いやる言葉の一つが「ありがとう」と言う言葉
です。世界中どこの国へ行っても「ありがとう」と言う感謝の言葉があります。

 感謝とは、ここにこうして生かされていることを「恵み」と感じる心でありま
す。即ち「ありがたいな」と思う心が深まれば深まる程、心が癒されて、喜び
が深まります。

 感謝の心を表す「ありがとう」の言葉のないところには幸せがありません。
よく「感謝するから愉快になり幸せになる」と言われます。

 言葉には「言霊(ことだま)」と言って、言葉には不思議な妙力があると言
われます。使えば使う程その言葉の妙力が大きくなって、より大きく作用す
ると言われます。

 そこで「ありがとう」と言う言葉の作用、本質についてお話しします。
一つ目は「ありがとう」は相手の存在を認める言葉です。
二つ目は「ありがとう」は相手の親切をかみしめる言葉です。
三つ目は相手の誠意を引き出す言葉であります。
四つ目は相手の立場を思いやるやさしい美しい言葉です。

 あなたは一日に何回「ありがとう」と言っていますか。あなたは妻または夫
に「ありがとう」と言ってますか。
妻が、夫が今更「ありがとう」と言わなくても分かっているからと言わずに、テ
レくさくてと思わないで、勇気を出して「ありがとう」と言ってみたら如何でしょ
うか。

 いつでもどこでも「ありがとう」と言いつづけてみたらいかがでしょうか。