ありがとうございました
              遠野市・喜清院副住職・千代川道林


 開経偈という二十八文字のお経があります。このおとなえは、お経の始
めに読むもので、これからおとなえするお経に対しての願いをあらわしてい
ます。

 内容としては、「このうえなき有り難いみ仏のみ教えを、いつの日にまた
いただく事ができましょう。今ここにありがたいお経をいただく事ができまし
た。願くは人のまことの道がわかりますように」という意味です。
 
 今、世の中でなくなりつつある言葉があるそうです。それは「ありがとう」
と「すみません」という言葉だそうです。

 日常生活の中で、自分中心に物事を考えて行動する人がふえています。
何かうまくいかなかったり、失敗して周囲の人達に迷惑をかけても人のせ
いにして「すみません」という気持ちを表す事ができません。

 また、もう一つの「ありがとう」は「有ること難し」という意味です。毎日の
生活の中で色々な人や物に接しています。

 それが一度きりの場合、もう何十年も前からずっと、そしてこれからもとい
う場合、また、なかなか接する事ができない場合などさまざます。この毎日
の人や物との出会いは、意識する事なく何げなくやっています。

 しかし先程の開経偈の中にあるように「いつの日にまたいただく事ができ
ましょう」とあるように「一期一会」の気持ちを持って「有り難い」という事を
再度振り返ってみて「ありがとう」という感謝の気持ちを表してみてはいか
がでしょうか。