いのち明朗 いのち満点
                      陸前高田市・光照寺住職・高澤公省


 今回は、病気になった時の自分とのお付き合いの仕方を、相田みつをさんの言葉をお借りし、学んでいきたいと思います。

 相田みつをさんは、禅の世界をベースに、常に自分自身を取り上げ、心あたたまる作品を多数発表されましたが、平成三年十二月に、NHKの
「心の時代」に出演されたのを最後に、六十七歳でこの世を去った方です。

 「一病息災、貧乏神同居、しかもかくのごとくなりといえども、いのち明朗いのち満点」という言葉が、今回のそれです。

 「無病息災、福の神同居。だから、今幸せ」と、普通はこう考えるのが私達です。ところが、逆境に会っても、いのち明朗、いのち満点というのです。どういう事でしょうか。

 つまり、現実というのは、必ずしも自分の都合通りに事が運ばれませんね。それどころか、益々愚痴ったり、ひとや物にあたったり、心持ちが悪くなってしまうことだってあります。

 イヤダ、イヤダと叫んで治るものなら、医者も薬もいらない訳で、あるがままに受け入れてみたらどうか。その上で、「いのち満点」に生きていく。という姿勢。

 以前、病室のベットで、「やっぱり三万円もする豆腐は、おいしいねェ」と言って食事をしていたおばあちゃんに出会いました。「普通の豆腐なんですが、そう思って食べると、病院の食事もおいしく頂けるって言うんですよ」と、看護する方のお顔もニコニコしていました。

 こういうのが「いのち明朗」なんでしょうね。相田さんは、肝臓の持病があり、家も裕福だった訳ではありません。NHK収録の際も、骨折のため、足の付け根から太いギブスをはめての事と後で知りました。

 よそ見をせず。しっかり自分と向き合ってこられたのです。「一病息災、貧乏神同居、しかもかくのごとくなりといえどもいのち明朗いのち満点」。
見方を変えてみませんか。