言葉と笑顔で施しを 
                   遠野市・曹源寺副住職・菊池良行


 私達は言葉遣いや会話によってお互いを理解したり、心
の状態を知ることができます。更に相手の考え方や人格を
変えさせることもできます。

 このような言葉は、私達の生活に欠かせない重要なコミ
ニュケーションの方法の一つです。けれども時として害にな
る場合もあります。

 気心が知れているから、家族だから、または気持ちがイ
ライラしたり、気に入らないことがあったりして、相手の気
持ちを考えず、荒々しい言葉や、乱暴な言葉遣いをされた
経験の一度や二度は必ずお在りのことと思います。
 
 結果は、売り言葉の買い言葉、状況は悪い方向へと、反
省することしきり。ただし、時が経てば同じ事の繰り返し、
この連続ではないでしょうか。

 私達の生活は、多くの人々に支えられ生かされていると
自覚することが大切ですが、その事実になかなか気付きま
せん。

 生かされている自分だからこそ、相手の心を大切にし、
慈しみの心を持ちたいものです。

 慈しみの気持ちから発する言葉遣い、心遣い、そして常
に笑顔の態度を心掛けてください。相手を慈しみ敬う心は
とりもなおさず、自分自身を高めることにもつながります。

 乱暴な言葉や発言は自分自身を損ねてしまいます。
慈しみの言葉遣い、笑顔の態度を言葉の施し「言施」、笑
顔の施しを「和顔施」といい、それぞれが相手の怒りや憎
しみを和らげ、心を温める施しの基本になるのです。
 
 自分自身を損ねることのないように、心して生活を行い、
自分自身を更に高めていきたいものです。