本当の幸福感 
                 二戸市・広全寺住職・佐藤一成         


 私たち人間はどう生きたらよいでしょうか。人間はい
かに生きるべきか、これにはいろいろ意見があると思
います。しかし結局は楽しく幸せに生きたいということ
が、人間共通の願いだと思います。

 それでは幸福は何によって得られるでしょうか。それ
は他人のために役立って、人に喜んでもらうことで得ら
れます。これが人間として最も立派な楽しみであり、生
きがいであり、本当の幸福感ではないでしょうか。

 しかしこの幸福感を味わおうと思えば、実際は大変な
ことであり、苦しい労力や、かなりの努力が必要になり
ます。

 本当の楽しみは、気持ちの良い苦しみの中にこそあ
るものです。苦しいことがあるからこそ楽しみもあるわ
けです。

 心が真っ直ぐに、あるということに向かって進んでい
れば、苦労のままが楽しみであり、言うに言えない味
があり、幸福はそこに満たされると思います。

 山登り・マラソン・野球・水泳など、打ち込んでいると
きは、そこにあるいろいろな困難が楽しいのです。
仕事も心から打ち込んでいる人には、苦しみや困難が
張りのある楽しみです。
 
 他人をけ落として金銭や物質が豊富になっても、社
会の信用をなくすると、本当の幸福感は味わえないで
しょう。酒やたんになる娯楽は、あとでむなしさが残り
がちですし、自分一人の楽しみです。

 私たちは社会の中で、持ちつ持たれつ生かされて
おります。自分と他人、共に楽しく幸福になりたいも
のです。

 他人のために役立ち、慈しみの心を持って苦しみを
救い、他人を喜ばせ得る心のある人こそ立派な人格
の人であり、幸福を得ている人です。

 この心はどんな人でも、持ち合わせております。
この心を充分に引きだして、真の幸福を得るようにし
たいものです。