おかげさま
宮古市・心公院住職・牧野栄山
私共のお寺の廊下の柱の陰に「おかげさま」と書いた 一枚の小さな紙が貼ってあります。 これは葬儀や法要の準備、後片づけ、お掃除などを して下さる方々に対し、感謝や労いのつもりで貼ったも のであります。 この「おかげさま」ということばですが、以前は手紙の 文章や道で会ったときなどの話の中でよく耳にされたこ とと思います。 おかげさまの「かげ」とは目に見えない隠れたところ、 「さま」は尊敬や丁寧の意味を持っています。 この二つが一つになって、人の好意や親切などに対し 感謝の気持ちを表わすことばとして使われているのであ ります 又、相手に対してだけでなく、先祖や神仏のご加護に 対してや、私たちを取りまく動植物や自然に対する感謝 の意味もありましょう。 直接かかわりを持ってお世話になっている場合はいう までもなく、そうでない場合でも、どこでどんなつながりに よってお世話になっているのかわからないのであります。 まわりの世話になり、おかげさまで私たちは生きていく ことができるのではないでしょうか。 まさに生かされているのであります。「お元気ですか。」 「おかげさまで。」 会話に温か味が増し、人間関係や日 常生活にも潤いが生じてくるのではないでしょうか。 今の世の中、改めて「おかげさまの心」を考え、日常生 活の中で大いに使っていきたいことばであります。 |