話 す
             平泉町・見性寺住職・渡辺弘文


 最近の子供達は、あまり人の顔を見ないで話す子が多
いと言われているそうです。親の問いかけにテレビを見
ながらの受け答え、音楽を聞きながらの生返事、ファミコ
ンをしているときなどは返事もろくにしない。
 
 その原因は、大人達にも大いに責任があるようです。釣
りをしながら、ハイキングをしながら、一つのことに親子で
集中しているときなどは、コミニケーションがとれるからい
いのですが、

 子供達がせっかく話しかけてきているのに、新聞を見な
がら、野球を見ながら、クラブで素振りをしながら、何かを
しながらの会話では、コミニケーションどころではありませ
ん。

 私達は最近手話を習い始めました。とはいってもしょっ
ちゅう講習会と他の行事が重なってなかなか前に進みま
せん。
 
 五十音の指文字は結構早く覚えたんですが、固有名詞
や単語、文章など覚えるのに時間がかかります。

 「手話」とは、「手で話す」ことですが手だけでは手話は出
来ません。顔の表情が重要です。同じ手の形でも複数の
意味のある手話は沢山あります。相手の目を見ながら、
手と顔、身体全体を使って表現する事によってお互いが理
解し会話が出来るのです。
 
 「目は口ほどにものをいう」と言いますように、子供の目
を見て自分の気持ちをぶつけていけば、それに対してきっ
と素晴らしい反応が返ってくるはずです。

 「話す」とは、自分の心を相手に放って相手の心に感じ
取ってもらい、そしてまた相手から帰ってくることだと思い
ます。決して一方通行ではいけません。
 
 今、いじめや家庭内暴力が世の中で騒がれています。
私達大人が本来の会話の大切さを理解し、子供達に何
気ない会話の中で何気なく伝えることで、この世の中も
少しずつ変わっていくのではないでしょうか。