動かないこころ 
            紫波町・高金寺副住職・大松博典


 「不動心」「動かないこころ」についてお話しいたします。
私達の日常は「動かないこころ」とは、まるで反対で、「こ
ろころ変わり「ひとつところ」にじっとしていることははとん
どありません。

 それはまるでロウソクの火が風によって揺れ動いてい
るようなものです。私達を惑わす風は八つあるといわれて
います。
 
 ひとつは「利」 お金の誘惑は大変なものですが、それだ
けでなく、とにかく「利益」になることには、ついふらふらとし
てしまうことを指します。
 
 二つは「衰」 これは「利」と反対で「自分の思いどうりに
ならないこと」にこころをうばわれてしまうことです。誰でも
損をしたくありません。
 
 三つは「毀」。陰でそしられることをいいます。陰口がい
つか自分の耳に入って来ます。そうするとこころが乱れま
す。
 
 四つは「誉」。これは「毀」と逆に陰で誉められることを言
います。それを聞いてついつい有頂天になってしまいます。
  
 五つは「称」。今度は目の前で誉められることです。テレ
くさいような恥ずかしいような気持ちになります。
 
 6つは「譏」。これは目の前でそしられることをいいます。
その場で反論しなくても、心の中は穏やかではありません。
 
 七つは「苦」。四苦八苦、悩み多い人生です。
 
 八つは「楽」。ほんのチョットでも次の「楽」次の「楽」と求
めていきます。
 
 この八つの風に動じない心を「不動心」といいます。
「八風吹けども動ぜず」という禅の境涯に一歩でも近づき
たいものです