合掌の意義について
             宮古市・慈眼寺住職・牧野文明


皆さん、今日は合掌についてお話しいたしましょう。
合掌とはどんな意味か、なぜ合掌しているのか考え
てみませんか。

私達曹洞宗檀信徒の皆さんは、朝な夕なにお仏壇
に向かって、また葬儀や法事の時などにおいて、掌
を合わせて頭をたれます。この習慣はインドから伝え
られたもので、今でもインドの人々は人に会うと「ナマ
ステ」といって合掌します。

合掌とは
、右の掌をほとけ様、左の掌を自分と見て
きっちりと胸の前に合わせ、指と指もぴったりと合わせ
る姿で、左右相対した二つの掌が一つに融合して、信
じ合いや、調和の世界を現しております。

合掌する姿は相手を敬う心の現れでもあり、清浄な
心をもって、敬う相手の心と一致させることでもありま
す。

インドでは、右手を清浄な神の手として、左手は汚れ
た自分の手として使い分けています。決して左手で人
に物を差し出してはいけないのです。汚れた手で相手
に物を差し上げることは失礼なことになるからです。

皆さん
食事の時に掌を合わせていますか。掌を合わ
せてから戴くのは、食事を作ってくれた人や、お米やそ
の食材を作っていた人々に対する感謝の現れでもあり
ます。
曹洞宗の信仰実践の基本は、端坐・合掌・礼拝です。
静かな心で端坐して、お釈迦様に合掌礼拝することに
よって、私達の毎日の生活を反省し、お釈迦様の教え
を生活の中で実践する活力を生み、その実践がやが
て心の安らぎへとなっていくのです。

皆さん合掌の意義がおわかりになりましたか。これか
らはどんなときでも、どんなところでも、自然に合掌で
きるように心がけましょう。