感謝に生きる

             久慈市・長福寺住職・稲田泰山



  私達、毎日の暮らしの中でどんな会話をするのでしょう
か。いろいろあると思います。お釈迦様のお言葉に法句経
という短いお経があります。
 
 「人の生をうくるは難くやがて死すべきものの、いま命あ
るは有難し」この世に人間として生まれたということは大変
難しいことです。

 ご両親から生んで戴いたかけがいのない命でありながら、
何日かはこの世を去っていくんですよ。今ここにこうして生
きているということは、あることが難しいことです。

  あること難し、有難し、有難うの語源だとおっしゃるので
す。有難うという言葉には深い意味がありますね。

  私達は、自分一人だけの力では生きられません。多くの
人や物にささえられ、生かされることによって生きているの
です。

  それでは、生まれて死ぬ一度の人生をどう生きるか、
長生きをすることが幸せでしょうか。そうでもありません。
短命で死ぬのが不幸でしょうか。そうでもありません。

 問題はどう生きるかなのです。

  二度とない人生、今、生かされているかけがいのない命
の尊さにめざめ、自分をみなをし、

 お互いに「有難ういわれるように言うように」を日暮らしの
会話に生かし、有難さをかみしめて、み仏様の慈悲につつ
まれながら感謝のまごころに生きてこそ、人生の幸福があ
るのではないでしょうか。