師走の歩み
             盛岡市・東顕寺住職・村井泰定


 時の流れは早く、今年も残すところあと少しとなりまし
た。この一年を振り返ってみますと、いろいろなことが
あったと思います。

 人生そのものが歩き続けのようなものですが、自分
の思い通り理想的にこの一年を過ごされた旁々がど
れ程おられたでしょうか。

 すべてに満足し悔いなく、幸福いっぱいの方がおら
れたかわかりません。どうでしょうか。

 私達は迷ったり悩んだり苦しんだりしているこの世界
に生かされておるからこそ、むしろ頑張って生きてい
ると思ってよいのではないでしょうか。

 悲しいときに一輪の花がとても美しく感じたり、また
迷い悩み、どうしたらよいかわからなくなった時、親身
になって相談にのってくれた方の言葉で心が明るくな
った経験など、いろいろな形で私達は日々仏さまにお
会いしているはずです。

 すなわち仏さまの世界の中で生かされておると思え
るのです。迷える私達すべてを差別なく、あたたかく
包んで下さっているのが仏さまではないでしょうか。

 江戸時代の禅僧が「知れば迷い、知らねば迷う法
の道、何が仏のまことなるらん」とのべております「こ
のうたの心がわかれば大道があらわれる」と付け加
えておりますが皆様はどのように理解されるでしょう
か。

 迷いや悟りはさておいて、今年残されたわずかな
日々、いろいろしなければならないお仕事があると
思います。さあ他との比較をしている暇もなさそうで
す。

 気付かなかったことに気付き自分の持っている良
いものを、どんどん出して一歩一歩あゆみ続けてま
いりましょう。

 卯年ももうすぐ過ぎ去り、辰年にバトンタッチ、さて
来年はどのような年になるのでしょうか。
         
 では佳い新年をお迎え下さい