生命を大切に
                   宮古市・慈眼寺住職・牧野文明


 今日ほど「人の生命(いのち)」にかかる血なまぐさい事
件が多くみられます。テレビ新聞を見るにつけて、小学生
から社会人に至るまで、世間を騒がしております。皆さん
も心を痛めていることでしょう。

 幼児虐待による殺人、中学生が友人と計画して父親を
死に至らしめた事件、お受験による妬み幼児殺人事件
など考えられない事件が相次いでおります。

 これらを見るにつけて、最近の社会はゾッとするような
事件が続出し、何か肝心なところが歪んでしまっている
ようです。これらの原因は一体どこにあるのでしょうか。

 今や、現代的科学的生活だけで、人間が人間らしく生
活しているとは思えません。全くの自分本位、相手を気
づかう「思いやり」の心などは乏しく、物に恵まれ過ぎて、
心の貧しさに気がつかなければなりません。
 
 私達が日常お唱えしている曹洞宗の教典「修証義」
があります。その中に「当に知るべし今生の我が身二
つなし三つなし」と唱えられております。これは尊い生
命は唯一つだけと悟しております。

 私達は一人びとり両親から戴いた有り難く尊い唯一
つの生命です。今日ほど生命が無造作に軽視されて
いる時はありません。

 今、病める人も、悩める人も「今」に目覚めて永く生
き続けようではありませんか。
 
 親から頂戴した折角の生命、
                二度とない人生のために。