無償労働に感謝
                     紫波町・長岩寺住職・斉藤盛久


 現在、世界の各国で、家事や育児など賃金の見返りのな
い無償労働(アンベイドワーク)を数値化しようとする運動が
急速に広がっています。
 
 これは、女性が担当する家事や育児を数値化することで、
女性の地位の向上を図ることが目的であります。
 
 ドイツで無償労働を計測したところ、日本円にして、国全
体で年間約65兆円に値する規模になったそうです。
 
 家事や育児などの無償労働をどう分担するかは、各家庭
の事情や考え方で様々だと思います。
 
 しかし、家事や育児のように家庭を支える無償労働は、働
く人が数値数値を意識せず、家事や育児そのものを自分の
生活の一部として愛情を持って行っています。
 
 すなわち、家族のために惜しみなく働くという「布施」であり
ます。自分と家族が同じに生きて行くことだけを考えていま
す。
 
 このことは、我が曹洞宗の開祖道元禅師の教え、四摂法
すなわち、布施・愛語・同事・利行そのものであります。
 
 無償労働が身をもって施すものであならば「家庭を支える
無償労働があるからこそ、他のものが外へ出て働き、学校
へも行けるのだ」という感謝の自覚を持つことが大切であり
ます。
 
 常に、無償労働に対して「心の施し」として「ありがとう」と
思いやりを表現し、無償労働に感謝いたしましょう