感謝のこころ

                     九戸村・長徳寺住職・江渡良治


 今日は感謝の心をお話致します。
『感謝・感謝・感謝』よく使われ簡単な言葉ですが、私たちの
心の表現としては軽い存在に思われがちです。


 よく元旦には、初日の出に向かって一年の慶をお願い致
します。日常でも朝日に向かって今日一日の無事をお願い
します。しかし、大方の人は夕日に向かい、今日一日を無
事に過ごさせて有り難うとは言わないと思います。

 例えて言うならば、お金の借用です。お金を借りる時には
、床に頭を擦りつける位丁寧にお願いを致します。

 しかし、大概返す時はごく簡単なお礼で、借りる時ほど丁
寧では有りません。お願いもお礼も同じです。借りる時の思
いを考えれば、返す時にはもっと大事な気持を持たなけれ
ばなりません。


 さてお寺のお勤めを二つのに分けると御祈祷と御供養が
御座います。御祈祷は厄除けや魂入等があり、場合によっ
ては病気の回復を願うお勤めや地鎮式も有ります。

 これ全て祈願、こちらからの一方的なお願いで御座いま
す。逆に御供養とは御先祖様にお陰様てしたと感謝を申し
述べるお勤めです。

 供養の字を思い浮かべて見て下さい。「供える」「養う」と
書きます。養うとは御先祖様に対してこの世からお礼の気
持を持つと言う事です。

 そして、供えるとはただ単に物を供えるだけでなく、そう
言った感謝の気持ちを養った心を供えてこそ本来の御供
養です。


 『合わせる堂に感謝の心』仏教での合掌は、人様は勿
論、あらゆる物の有難みを知り、心から感謝の意を表す
動作です。



 希望に満ちた輝ける朝日も、沈む夕日が有ればこそ、
「お陰様で有り難う」と言う感謝を常に心に持ち、静かに
手を合わせて下さい。