夢の実現 
                 盛岡市・東顕寺住職・村井泰定


 ある日、知人より一冊の「勇気と希望の人間ドラマ誌」ポカラとい
う雑誌を贈呈されました。第9号のようでした。パラパラとページを
捲っていたら「ほんとうの学校」見つけたという特集の中に大きな
見出しで「大学は社長になってから行こう」と書かれているのが目
つきました。

 あるいはこの雑誌をお読みになった方もあると思いますが、この
話に今回触れてみたいと思います。23歳で会社をおこし、二度に
わたる倒産の危機を乗り越えた50過ぎの社長さんが、予備校通
いをして見事大学の法学部に合格を果たしたのです。

 合格してからの4年間の勉強時間は、およそ1万時間位になっ
たということです。大学では4年間休まずに勉強はもちろんのこと
若い学生達とサークル活動もして、とても充実した大学生活であ
ったようです。

 この学者、立教大学を卒業した現在、次なる希望は60歳代で
東大大学院をめざし、70歳代でハーバード大学で勉強し、もう一
つの夢はハーバード大学に行ったら向こうで、日本の航空技術の
粋を集めた飛行機、零戦を自分で復元して作り、自分で操縦して
太平洋を横断し、日本に帰ってくることなそうです。

 如何でしょうか。この世の中には、いろんな方がいろいろな人生
を歩んでおられるわけですが、編集後記に阿部さんという方が「人
間は2回この世に生まれます。1回目は当然のことながら存在す
るためであり、2回目は自分らしく生きるため」と述べておりました

 私達の曹洞宗を開かれた道元禅師様のお諭しの書物・典座教
訓のなかで「他はこれ吾にあらず」と申されております。

 みじかい一生です。私達も自分を生かし、自分らしく生きるよう
につとめて行きたいと思います。