お地蔵さまの役目
                 種市町・東海寺副住職・横田哲宗



  皆さんは道端にひっそりと佇むお地蔵さまに出会
ったことはありませんか。


 宮沢賢治の詩そのままに、雨にも負けず、風にも
負けず、嵐の中にあって
も、吹雪の中でも、じーっと
道行く人々を見守り続けているお地蔵さま。


 車社会の今日では、気付かぬまま通り過ぎてしま
うことでしょう。誰かが願
いを込めてお祀りしたお地
蔵さま。子育て地蔵さん、身代わり地蔵さん、とげ
抜き地蔵さん、と色々のお名前をもったお地蔵さま
ですが、その心、そのお
役目を考えてみましょう。

 私達は多くの苦しみと悲しみ、そして迷いを背負
ってこの世に生きておりま
す。そんな苦しみ悲しみ
迷いが大きければ大きい程、何かにおすがりして救

いを求めるものであります。

 そんなとき、道端に佇むお地蔵様にそっと手を合
わせて、心の安らぎを覚え
たという人も大勢いるこ
とと思います。お釈迦様の教えによりますと、お地
蔵さ
まは多くの分身、お姿を持っておられるそうです。

 その分身は生まれ変わり、死に変わりしながら、私
達衆生と多くのご縁を結
ばれます。そのご縁により、
苦しみも悲しみも迷いも、私達に変わってお受け

さるのであります。いつでも、どこでも私達をお守り
下さるお地蔵さまです。


 皆さんも、いつかどこかでお地蔵さまに出会いまし
たら静かにそーっと掌を
合わせ、お願いを託してみ
て下さい。


 きっとこころが和み、良いえにしに恵まれることで
しょう。