水のいのち 
      東磐井郡東山町・観林寺住職・高橋哲秋


 今、曹洞宗では信仰運動としての「グリーンプラ
ン」を展開しております。
 その一環として昨年「水のいのち」と題しての講演
会が開催されました。
 講師はドラえもんで有名な大山のぶ代さんでした
が、環境問題について大変勉強になりました。
 特に印象的だったのは、富士の裾野のわき水を大
切にしている地域住民の話でした。
 御殿場を始め、富士の裾野に良いわき水が多いこ
とは有名ですが、きれいな水を維持するために、地
域の人が定期的に川を掃除して、年に一度は水源地
にお礼するそうです。
  この話を聞いて考えさせられることが、二つありま
した。
 一つは、自然を自然らしく保つためには、人間の手
を加えることも必要なのだということです。
 たとえばヨシやカヤなども放置するのではなく、秋に
刈り取ることで、より生き生きとした草になるのだそう
です。まして、空き缶などが投げ捨てられた川や湖は
私達の責任できれいにする義務があると思います。
 もう一つは、水源地にお参りして、水に感謝する
ことです。水・空気・光は、私達人間が生きて行く
上で、欠かすことの出来ないものですが、余りにも
身近すぎて、その恩恵を忘れています。
 ところが最近では、酸性雨が降り注ぎ、オゾン層
は破壊され、水もくたびれてきています。
その主な原因は、石油燃料と生活排水といわれ
ています。そんな中にあって、昔から水の大切さを
肌で感じ、水源地に感謝することは素晴らしいこと
です。
多分この地域の人達は、水を汚さない工夫もして
いることでしょう。
  人はただ一人だけでは生きていけません。多くの
人や環境の恩恵に支えられ生かされています。
水がなければ死んでしまいます。蛇口の水は、海
に流れ、空に上がり、雨となって地面にしみこんで、
長い年月をかけてまた戻ってきます。
 水を汚すことは地球を汚すことになります。

そんなことは、分かり切ったことだ」という声が
聞こえてきそうです。分かっていても、普段の生活
で、水を大切にし、水に感謝しているでしょうか。
 ゴミを少なくする努力をしているでしょうか。理解
していても実際に行動しなければ、理解していない
ことと同じです。
 多くのものに支えられている私達です。支えられ
ているものに、ありがとうの気持ちを込めて、思い
やりの行動をしたいものです。