自分を生かそう
久慈市・長福寺住職・稲田泰山
お仏様のみ教えに「この世にあるもの一人にあら ず」のお示しがあります。 「人」という字を見ますと誰かに寄りかかり、誰かに 支えられている形になっています。 私達は、自分一人だけの力では決して生きていくこ とは不可能です。今生きていることは大勢のお方の力 で生かされているのです。 |
この世のお別れにおいても誰かの世話になり、迷惑 をかけ、そして誰かを傷ましめ、悲しませずには死ねな いのです。 |
私達の人体を構成している一番小さな単位を細胞と 呼んでいますが、その細胞のおかげで、私達は生命を 維持したり、手足を動かしたり、ものを考えることが出 来ます。 その数は60兆もあるそうですが、そのうち毎日15 万個は死滅していくのだそうです。 |
してみると自分は今、昨日に変わらず生きていると 思っていますが、実は今日の私は昨日の私そのもので ないわけで、明日の私もまた、今日の私でないことにな ります。 でも私達は只今、大いなるものによって生かされており ます。 |
「たった一人しかない自分を、たった一度しかない一 生を、本当に生かせなかったら、人間に生まれてきたか いがないじゃないか」という詩があります。 人間とは字の通り人と人の間のことです。夫婦・親子 ・兄弟を始め嫁と姑・友達・近所親類に至るまで人と人と の間が大切であります。 |
この人と人との間に何があったらよいでしょうか。そ れは「思いやりの心」です。 人と人とが思いやりの心をその間に持ってこそ、はじ めて人間であります。 |
お互い人間関係をよくして「心の友」を持ちながら、こ うして与えられた自分の命を生かしながらこの世を強く 生きていきましょう。 |